大津研究室メンバによる JAXA での実験の様子が NHK教育TV の サイエンスZERO で放映されます。
2022.07.22
大津研究室メンバによる JAXA での実験の様子が、NHK教育TV の サイエンスZERO (7月24日(日)23:30 より) で放映されます。当日の番組タイトルは「探検! 宇宙科学研究所♯2 “月着陸機” 打ち上げ直前SP」で、プロジェクト全体の詳しい解説の他、大津研究室でJAXAの大型設備を用いて定期的に行っている学生による実験の様子が紹介されます。
番組の予告編にも大津研究室による実験が映っています。本放送(ならびに再放送)も是非ご覧になってください!
皆さんも良くご存じの「はやぶさ」のように、小惑星探査機が外惑星から地球に帰還するためには、音速を大幅に超える速度で大気圏を飛行する必要があります。その速度に伴う運動エネルギーは、再突入飛行の過程で熱エネルギーに変化するため、宇宙飛行体は高温気体に晒(さら)されます。この現象を「空力加熱」といいます。この加熱に耐えるように今までの飛行体は設計されていますが、効率よく減速させることができれば、その加熱を避けることが可能となる訳です。
そのような背景のもと、大津研究室では以下のような取り組みが行われています。
◇宇宙飛行体を効率よく減速させるためには、抗力係数を大幅に増加させるのが良いのですが、それは非常 に難しいため、抗力係数ではなく、飛行体の風が当たる面積を大幅に増加させる方法を検討しました。
◇その方法は、飛行体の後方にガスを注入することによって展開可能な柔軟構造物を利用する方法です。
しかし、ガスで膨らませるために、構造物には柔軟性があるため変形することが予想されます。
本実験では、超音速の気流の中でどのように変形するのか、また、変形することにより空気抵抗が
どのくらい変化するのか、を風洞実験により明らかにすることが目的です。
◇一般に、ガスで展開可能でかつ、風洞の気流で壊れない柔軟構造物を作ることは困難なため、
柔軟性(剛性)と変形の関係を明らかにするための実験模型を本学の高精度3Dプリンタにより作成
しました。この3Dプリンタでは、光造形タイプのプリンタのため、模型の内部構造まで作成することが
できます。そのため、模型の内部構造を工夫することにより柔軟性(剛性)を変化させることにより、
剛性と変形の関係を明らかにすることを目指しました。
実験を適切に遂行するためには、研究室に所属する学生らの地道な努力や緻密な計画性が必要です。このプロジェクトにおいても、内部構造を工夫した形状作成には、学生らのCADによる図面作成が重要となります。指導教員である大津教授によれば、学生諸君は日頃より創意工夫して頑張ってくれている、とのことです。
ちなみに、学生諸君においては、番組MCでタレントの 井上 咲楽 さん に会うことができて嬉しかった、とのことでした。努力と続けていると、必ずや良いことがある、ということかも知れませんね。