博士(工学)東京大・院・工 教授
専門分野 | 航空宇宙工学、空気力学、飛行力学、数値流体力学 |
研究課題/長期 | 再突入飛行体、小型・低速飛行体の研究、流体数値解析技術 |
研究課題/短期 | 再突入飛行体の空力加熱低減法、低レイノルズ数領域の飛行体 |
研究テーマ 惑星探査用飛行隊に関する研究
火星などの惑星探査を行い、採取した試料を地球に持ち帰る場合には、地球の大気圏を高速飛行する必要があります。その飛行速度は地球の場合で約27000km/h(音速の約27倍:マッハ27)にも達するため、飛行体のまわりには強い衝撃波が形成され、それに伴って周りの空気が断熱圧縮され高温になることから、飛行体は高温空気に包まれます。この現象を空力加熱といい、スペースシャトルのような飛行体をこの空力加熱から守る技術は重要な研究課題となっています。
私たちの研究室では、この空力加熱から飛行体を守るための技術として、電磁力を利用した飛行体まわりの流れ場の制御や、多孔質体を利用した新しい耐熱材の研究、柔軟構造物を利用した新しい再突入飛行体の研究をJAXAなどとの共同研究により行っています。
また、多くの惑星大気は地球よりも薄いことが多く、地球上でも高高度を飛行する場合には、同様に大気密度が低下します。その場合、流体力学的にはレイノルズ数が小さい領域を飛行することになります。レイノルズ数は、飛行速度が遅い場合や飛行体そのものが小さい場合にも小さくなり、同じレイノルズ数であれば同様の特性を示すことになります。
つまり、小型・低速飛行体がうまく実現できれば、惑星大気を安全に飛行できる飛行体が実現できることになります。あまり知られていませんが、人力飛行機などでも速く飛行するよりも「ゆっくり」飛行する方が難しいのです。私たちの研究室では「ゆっくり」飛行できる飛行体の実現を目指して、低レイノルズ数領域の翼のまわりの流れの解析技術の研究や、流れ場の制御技術、人力飛行機や小型飛行船などの研究を行っています。